2017-08-30 Wed 11:34
いつもと違う場所できいた蝉の鳴き声。
こんなにも違うふうに響くのかと、ずいぶんと驚いた。 連なる山と真っ青な空に動かない大きな雲。 緑に囲まれたあの家は、まるで避暑地のようだったと思い返す。 そんな蝉の声ももう聞こえなくなった。 まだまだ暑くても、蝉の声が聞こえないだけで、「ああ、もう夏の終わりなんだな」と思う。 色んなことが初めての夏だったけど、大きな違和感はなく終わった。 ただ、あのひんやりとした廊下を恋しく思った。 ぺたっと肌をはりつけ、天井を見上げ、目を閉じ、外で鳴く蝉の声に耳を傾ける。 犬の大きな寝息も混じる、夏の午後。 すこし涙が出るのはなんでだろうね。 淋しくなんてないけれど、あの家が好きだったんだろうなって。 知ってたことを思い知る。 二十年以上も見続けた景色。 忘れるわけがないよね。 すごく好きな今の家の中を見渡しながら、そう思った。 |
2017-08-12 Sat 21:12
日に焼けた少年たち。その表情は真剣そのもので、すこし羨ましくなる。
そんな少年たちを、これまた真剣な表情で見つめるあなたを傍目に、私は涼しげな瓶の蓋を栓抜きでスポンと開け、こぽこぽと音を立てながらコップへと注ぐ。 甘くて、しゅわあっと広がるラムネの味は、うれしくて、さびしくて、広がる私の気持ちみたい。 すこし痛くて、じとっと残る後味も。 コップに張り付く泡。 小さな音を立てながら、どんどんと弾けていくの。 あー、私とあなたの日々もいつか弾けてなくなっちゃうのかなって。 ただのベタッとした砂糖水のようにさ、なっちゃうのかな。 涼しい風がカーテンを膨らます。 まるで夏だということを忘れてしまいそうな今日。 |
| ずっと近くに |
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