FC2ブログ
神に祈った事それは...早くあなたのお気に召される様に
<
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
余震
2010-06-30 Wed 13:46
今頃になって、なんであの時のこと思い出したんだろう。
忘れていたはず。もうあたしの中から欠け落ちていたはずの記憶。
何年も前のことなのに、なんで今頃色鮮やかに戻ってくるの?

「このままドライブ行けたらいいのにな」
そう思っていた助手席。

喧嘩をして、「もう別れようか」、そんな話になって、無言のまま車に乗った。

トンネルを抜けても、このまま仲良く一緒にいたくて、わたしは足元だけを見てた。
立ち止まりたくても、立ち止まれない。車はどんどん流れてく。
まるで鮭の産卵みたいな車の流れ。流れているのか流されているのかわからなかった。
ふと顔を上げてみた目の先にはトンネルの向こうの光が見えてる。
あの先にあるものは、なんなんだろう。
あたしとあの人の終わり。眩しさで消えてしまいそうだった。

突然思い出したあの時が、今のあたしの目に焼きつく。

夏服。6月の終わり。
汗ばむ体と止まらない涙。

トンネルの先にはぎらぎらと照りつける夏。
スポンサーサイト
別窓 | Diary | コメント:0 | top↑
かくれんぼ
2010-06-22 Tue 03:48
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10! もういいかい?

まーだだよ。

えー。じゃあ、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20!!
もういいかい?

まーだだよ。

えーー。まだ?
21222324252627282930! もういいかい!??

もういいよ!


どこに隠れているかわからない夏。
梅雨は夏を探しているんだ。
隙間からキラリと光る夏のカケラを見つけては「ここかな?」とカーテンをめくり、布団をはがし、洋服箪笥の引き出しを開け、机の下を覗き、大きなぬいぐるみを探り分ける。

夏はくすくす笑ってる。
梅雨は夏が見つけられなくて哀しみの雨を降らしてるんだ。

今日の梅雨は激しく泣いている。さっきからバスの大きなワイパーが必死に右に左に行ったり来たり。
バス停で打ちひしがれるように泣く雨の下に降りる。涙で濡れないように大きく傘を広げたら、ぶらんと金属棒が頭にあたって、ばさっと傘がわたしの頭にしなだれかかった。
「あれ」と思う。「ああ…」と思う。
「まだいけるかな」。すこし無理に広げてみたら、折れた金属棒が傘に刺さって穴が空いた。
傘から金属棒が突き出たまま、家までとぼとぼ帰る。
梅雨はそんなあたしをお構いなしに泣き続けている。

あたしの頭上で毎日まいにち繰り広げられている遊びは、この世さえもを振り回す。
じめじめ、むしむし。ねちっこく続く梅雨と夏のかくれんぼ。

よどんだ空気に澄み渡るあじさいの花。近付いてみたら、そこにはかたつむり。
アスファルトに映る水模様。その上をなめらかに滑るあめんぼ。
真夜中にポツポツと音を立て始める窓の外。さっきまで響き渡っていたカエルの合唱は消えてゆく。

きっとみんな同じ気持ち。

みーつけた。
キラリ。ニヤリ。夏は笑っている。
別窓 | Diary | コメント:0 | top↑
もしもしのとき
2010-06-12 Sat 22:07
電話がかかってきてさ、
ハッとすんじゃなくて、ぼーっとした。

電話が鳴ってる音がする。
知ってるんだ。誰からか。

もしもし。
ゆっくり手にとって、声を出す。

「もしもし」
聞こえてきた声。誰からかわかってたはずなのに、一瞬頭がまっ白になる。
もういっかい、振り絞るように声を出すんだ。もしもし。

返ってくるのは、笑い声。
一瞬、時を止めたくなる。時を止めて、巻き戻して、もう一度。
そんなあの人の笑い声。左手にぎゅっと力を入れて、受話器を耳に押し当てる。
まるで、あの人を抱きしめる時にみたいに。ぎゅっと。

今すぐ、あの人に耳をくすぐられたいなぁ。
そんなこと思っているから相槌が遅れて、「きいてる?」とか言われちゃうんだ。
どもりながら、「きいてるよ」とか強がってみたら、聞いていないことを見抜かれてまた笑われる。

だめだなぁ。いつまでたってもかわらない。

別窓 | Diary | コメント:0 | top↑
葡萄
2010-06-08 Tue 11:35
まだ空が水色とグレー色。薄く瑞々しく透き通らせた水彩画で塗られたのような時間。
キッチンはひっそりと、まだ夜中の静けさを残したまま。
ぺたぺたぺた。あたしは裸足でその世界に踏み入れる。
おわりとはじまりが入れ替わる境目はぼんやりとしていて、まるで天国に来てしまったみたいな、そんな気持ち。

天国にはなにもなくて、淋しくはないのだけれど、すこし哀しくなる。
すごく綺麗な色をしているのに、息をしていない空間。人の死顔。

「きれいな死顔でしょう」
いつだか、誰かに言われた時のことを思い出す。
人が死んだ時。棺の中を覗き込んだ時。必ず、誰かがそう言う。
決まり文句、なのだろう。
美容院で髪を茶色く染めていた人が黒染めをした時。
「アジアンビューティー」
決まってそう言うのは、あたしの通っている美容院。
それしか言いようがない、らしい。
決まり文句。同じレベル、なのかな。

やかんから立ち上る白い湯気を見つめながら考える。
湯気は勢いよく広がってゆく。なにもなかった世界にもくもくと。

わたしは野菜室から葡萄を取り出す。
ダンボールパックに白い発泡スチロール紙で包まれた、大きな紫色の実。

ひとつひとつ、丁寧に捥ぎ採る。
水を張ったボウルの中は、紫の実でいっぱいになる。
ひとつひとつ、丁寧に皮を剥く。
透き通った黄緑色に変化する葡萄の実。
水を張ったボウルの中には、剥がれた皮が沈んでいる。
それはまるで朽ちた薔薇の花びらみたいに綺麗なのに、刹那。

別窓 | Diary | コメント:0 | top↑
フルーツトマト
2010-06-06 Sun 12:31
フルーツトマトみたいな火曜日。
どんな曜日なのか、ずっと知りたかったんだ。

「フルーツトマトって食べたことある?」
「あるよ」

その人は怪訝な顔をしながら答えた。
一瞬躊躇ったけど、「どんな味なの?」って訊いたんだ。

「青臭さがない感じかな」

なんでかな。すごく哀しくて、切なかった。
あたしはフルーツトマトになにを期待していたんだろう。
この人になにを期待していたんだろう。
わからなかった。甘い味。甘い答え。

「なんで?」
「え、食べてみたかったんだ」

なんてことない火曜日の夜。すこしだけ、嘘をついた。
むっつで398円のフルーツトマト。
別窓 | Diary | コメント:0 | top↑
| ずっと近くに |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。